近年、日本に訪れる外国人(インバウンド)の方が多くなってきました。
日本語は美しいことばですが、学ぶのは決して簡単ではありません。
三種類の文字「ひらがな、カタカナ、漢字」そして独特な敬語表現など、多くの要素があり悩むたねです。
日本人でも使い方が間違っていたりしているのではないでしょうか。
外国の方は日本に来るたびに「日本語は難しい?」「どのように使うことば?」など、よく耳にします。
そこで、日本の文化を理解し、豊かな表現を身に付けるためにも本記事では、日本語の難しさを深く探っていきます。
本記事のポイント
- 日本語が難しいと感じる理由
- 三種類の文字
- 外国人がもっとも不思議と思うことば

日本語は難しいと感じる理由

日本語は文法、表現、発音などの面で独特な特徴を持つので、外国人にとって難しいと感じるポイントが下記の様にあります。
敬語
□敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の使い分けは、非常に難しく状況に適した表現を選らばなくてはいけません。
□例:「言う」の場合「おっしゃる(尊敬語)」「申し上げる(謙譲語)」「言います(丁寧語)」
日本人でも相手が仕事関係や上司など以外は、通常丁寧語を使う方が多いのではないでしょうか。
漢字の読み方
□漢字には複数の読み方「音読み・訓読み」があります。文脈によっては使い分けが必要です。
□例:「生」=『人生(じんせい)『生ビール(なまビール)』『生きる(いきる)』など
「生」の字だけでも十通り読み方があります。
助詞の使い方
□助詞「は・が・を・に・で・など」の正しい使い分けが難しいです。
□例:「は」と「が」の使い分け「私は日本人です。」「私が日本人です。」
□英語:「I am japanese」「I am japanese」どちらも同じ意味になります。
文法構造
□主語-目的語-動詞(SOV→Subject・Object・Verb)という語順が英語などと異なるため慣れるために時間がかかります。
□例:「私は昨日、友達と映画をみました。」
□英語:I watched a movie with my friend yesterday.
曖昧な表現
□日本語には曖昧な表現や遠回しな言い方が多いです。
□例:「少し考えます。」断ることをやんわりと伝える。
同音異義語
□同じ発音でも意味が異なる単語が多く、特に文脈で判断する必要があります。
□例:「橋(はし)」と「箸(はし)」
イントネーションが違うだけで意味が変わるのは、日本人でも分かりにくいです。
擬音語・擬態語
□擬音語(音を表す)や擬態語(状態を表す)が豊富にあり、ニュアンスを理解するのが難しいです。
□例:「ドキドキ」緊張していることの表現。
□例:「ぐっすり」深く眠ることの表現。
省略表現
□日常会話では、主語や目的語が省略されることが多くあり、文脈を読まなくては意味が分からない場合があります。
□例:「行く?」=「あなたはこれから行くのですか?」
イントネーションとアクセント
□地域によってアクセントやイントネーションが異なります。
□例:関西弁や東北弁の方言に戸惑う
おはようございますを関西弁では「おはようさん」東北弁では「お早うござります」オハヤガンス」などことば自体も変わってきます。
文化的背景が関係することば
□日本独特の文化や習慣に、関連する言葉や概念が理解しにくい。
□例:仕事終わりの挨拶「お疲れ様です」や食事前の「いただきます」
外国人にとって上記の点が日本語学習の壁となっているのです。
三種類の文字

日本語が難しいと感じるもう一つは文字の種類です。
ひらがな、カタカナ、漢字の三種類あります。
ひらがな
ひらがなの原点は中国から伝来した漢字から日本で派生したものです。
日本にはもともと独自な文字がなく、5世紀ごろに漢字が伝来すると、それを使って日本語を表記するようになりました。
しかし、漢字は複雑で扱いにくいため流れるように書いた漢字(草書体)を簡略化し、日本独自のひらがなが生まれたのです。
ひらがなが発展したのは平安時代(8~12世紀)で、特に女性たちが多く使用していました。
女性は漢字を使う機会が少なく、より書きやすいひらがなが普及していきます。
「源氏物語」や「枕草子」といった文学作品がひらがなで書かれたのもこの影響によるものです。
カタカナ
カタカナの原点はやはり漢字にあります。
しかし、ひらがなが草書体を簡略化して生まれたのに対して、カタカナは漢字の一部を取り出して作られました。
カタカナが生まれたのは奈良時代から平安時代(8~9世紀ごろ)で、主に仏教の僧侶たちが経典を読みやすく使い始めたと言われています。
難しい漢文を読む際、発音や意味を補助するために、漢字の一部を使って簡略化した注釈をつけたことがカタカナの始まりです。
今では外来語や擬音語、強調表現などに使われるようになり、日本語の表記体系の一部として定着してきました。
漢字
漢字の始まりは、約3,300年前の中国・殷(いん)の時代にまでさかのぼります。
殷の時代に、人々は亀の甲羅や牛の骨に刻んだ文字「甲骨文字」を使って占い記録をのこしていました。
このことが漢字の最も古い形と考えられています。
時代が進むにつれて文字の形が洗練され、青銅器に刻まれた「金分(きんぶん)」や泰の始皇帝によって統一された「小篆(しょうてん)」などさまざまな文字が生まれました。
そして、漢の時代には現在の漢字の基礎となる「隷書(れいしょ)」が完成しさらに「楷書(かいしょ)」へと発展しました。
日本へは5世紀ごろ中国から漢字が伝わり「万葉仮名(まんようがな)」として使われ、これが後にひらがなとカタカナへと変わり、日本独自の文字体系が生まれるのです。
漢字は長い歴史を持ち、現在も中国、日本、韓国、台湾などで使われ続けており、アジア圏の文化や言語に大きな影響を与えています。

外国人が不思議と思う日本語?

外国人が不思議に思う日本語は下記のようになります。
よろしくお願いいたします
□「よろしくお願いいたします」は、ビジネスや日常会話で頻繁に使われますが、英語ではピッタリ合う表現がありません。
□英語:初対面の挨拶で「Nice to meet you.」
:仕事を頼むとき「I appreciate your help.」
:何かを始める前「Let’s work well together.」
上記のように英語では、状況に応じて訳し方が変わりますが、日本語の「よろしくお願いします」はこれらを全部表現できることばです。
大丈夫?
□「大丈夫」は「OK」や「問題ない」と訳されますが、使い方が多すぎて混乱する外国人の方もいます。
会話例で

怪我は痛くない?

大丈夫です(痛くない)

手伝いましょうか?

大丈夫です(いらない)
「大丈夫」は文脈によって意味が変わってくる、何でも表現できる万能なことばですが、英語では難しい表現です。
頑張って
□「頑張って」は「Good luck(幸運を祈る)」や「Do your best(最善を尽くす)」とも訳されますが、どちらの意味にもならない場合があります。
□例えば「風邪をひいた」と言った人に「頑張ってね」と言うと無理をさせるようなニュアンスになることがあり、誤解を招いてしまうのです。
お疲れ様とご苦労様
□「お疲れ様」も「ご苦労様」も仕事を終えた人にかける労いのことばです。
□「お疲れ様」は同僚や上司に使えますが「ご苦労様」は目上のひとが目下の人に言うことばなので、違いを知らずに目上の人に「ご苦労様」を言ってしまい、失礼なことになってしまうケースがあります。
まとめ
どこの国のことばでも難しいと思いますが、日本語は特に難しいと言われています。
下記の様にまとめてみました。
- 日本語が難しい理由:日本語は文法、表現、発音などの面で独特な特徴を持つ。同音異義語
- 敬語・漢字の読み方・文法構造・曖昧な表現・同音異義語・擬音語・擬態語・省略表現・イントネーションとアクセントなどで、ことばの難しさを感じる。
- 三種類の文字:ひらがな・カタカナ・漢字どのように使い分けるのか。
- 外国人の方は基本的なあいさつ「お疲れ様」や「いただきます」なども難しいと感じる。
上記のように日本語は世界で一番難しいと言語の一つとされています。
しかしその一方で学ぶ魅力多く、日本文化への理解が深まる楽しさもあるのではないでしょうか。
参考になれば幸いです。
