4月になると新年度を迎える時期になります。
「なぜ4月からなのか疑問に思ったことはありませんか?」
「いつからこの制度になったのか?」など…
生まれた時からこの制度だったから、何の疑問も思わない人も中にはいるでしょう。
しかし、ここで詳しくなぜ今の4月新年度になったかを調査して解説していきます。
本記事のポイント
- 新年度はなぜ4月から?
- 4月始まりで良かったこと
新年度は何故4月から?

日本の新年度(会計年度・学校年度)が4月に始まる理由には、歴史的・経済的な背景があります。
明治時代の財政制度改革
明治政府は、近代的な財政制度を整える過程で会計年度を4月から翌年3月に統一しました。
理由としては、イギリスの会計年度(4月~3月)を参考にしたと言われています。
1873年(明治6年)までは、日本の会計年度は旧暦(太陰暦)に基づいていましたが、太陽暦の導入とともに変更されました。
太陰暦から太陽暦に改暦の理由
太陰暦から太陽暦に改暦された経緯は、欧米と統一を図るためとされています。
太陰暦は2~3年に一度閏月を挿入必要があり、太陽暦と比べて不正確だったのです。そのため一年を365日とし、それを12月に分け、4年に1度閏年をおきます。
そして、1日を24時間とし明治5年12月3日を新暦の明治6年の1月1日としました。
当時改暦の影響は、人々に大混乱を巻き起こしています。
特に年末の借金を返済する期限や掛け売り(つけ払い)の清算する時期だったため人々の生活には大きな影響を与えました。
農業との関係
当時の日本は農業中心の社会でした。明治時代の税収の多くは農作物(特にコメ)に依存しており、税金の納入は秋の収穫後(主に12月頃)に行われていました。
そのため、翌年度の予算編成を行うのに敵した時期が4月だったと考えられます。
学校制度の影響
明治19年(1886年)に文部省が「学校の年度を会計年度に合わせる」方針を決定しました。
これにより、日本の学校年度も4月はじまりとなったのです。
企業と官庁の慣習化
政府の会計年度が4月はじまりだったため、民間企業や官庁もそれに倣い4月から新年度を開始する流れが定着してきました。
現在も多くの企業が4月に新入社員を迎え、組織改編を行うのはこの名残です。
なぜ1月や9月ではないのか?
*1月の始まりは暦の上では自然ですが、年末年始の慌ただしいことを考えると、新年度の準備には向いていませんでした。
*9月始まりは、欧米の学校制度(特にアメリカやヨーロッパ)に多いです。しかし、日本の農業や税収サイクルと合わなかったために採用されなかったのです。
4月始まりで良かったこと

季節との相性
4月は春で気候が穏やかなので、新しい環境に適応しやすい時期です。
桜の季節と重なり、入学式や入社式が華やかな雰囲気で迎えられます。
学校・企業の年度が統一
日本では学校年度と企業の会計年度が一致しているため、卒業から就職の流れがスムーズです。
そのため、企業の採用活動や新卒社員の研修が効率的に進められます。
予算編成や税収管理
政府の会計年度が4月始まりになっているため、国家予算の編成や税金の徴収・運用がスムーズになりました。
前に述べたように、農業中心の経済だった時代の名残ですが、現在も財務管理の観点から適している時期と言えるのです。
年末年始の忙しさをさける
新年度が1月始まりだとしたら、年末年始の休暇と重なり準備が大変です。
4月始まりなら落ち着いて、新年度を迎えられます。
受験シーズンの安定
4月入学により日本の受験シーズンは1月から2月の冬とされています。
この時期は他の行事と重なりにくく、受験生が勉強しやすいというメリットもあるのです。
まとめ
新年度が4月始まりなった理由は下記の様になります。
- 歴史的・経済的な背景から。
- 近代的な財政制度を整える過程で会計年度を4月から翌年3月までに統一。
- 農業を基盤とした税収サイクルの影響が大きく、それに伴い学校制度や企業の習慣も統一された。
4月始まりの新年度は、気候の良さ、学校と企業の統一、予算編成のスムーズさなどの点でメリットがあります。
歴史的な背景だけでなく、現在の日本社会に適した制度と言えるのではないでしょうか。