近年若者の間でよく使われている言葉が、江戸時代から使われていたのは本当なのでしょうか?
「え~マジで、ヤバイじゃん」などよく耳にしますが、若者だけでなく今は広い年代で普通に使われているように思います。
そんな近年使われている言葉が、江戸時代からどのようにして使われていたかまた、今に残る言葉は何かを解説していきますので最後までご覧ください。
本記事のポイント
- 武士言葉
- 江戸言葉
- 今も残る江戸言葉
- 吉原の言葉
江戸時代の言葉
江戸時代は言葉に関して政府で決められていた標準語はなく、全国から武士たちが集められ、大工や土木工事の労働者が各地から来たため、さまざまな方言が入り乱れていたと言われています。
どんな言葉があったか探っていきましょう。
武士言葉
時代劇などでよく耳にする「かたじけない」「~でござる」の武士言葉があります。
武士言葉のはじまりは、参勤交代で多くの侍たちが江戸に来ていましたが、現代以上に地方の訛りが強い言葉を解消するために生まれた言葉です。
よく耳にする武士言葉は下記になります。
武士言葉 | 現代言葉 | 武士言葉 | 現代言葉 |
---|---|---|---|
かたじけない | ありがたい | いかさまな | インチキ |
~でござる | である | 貴 様 | あなた様 |
左様ならば | それでは | 大義であった | ご苦労であった |
ご新造 | 他人の妻 | 何のこれしき | これぽっち |
御意(ぎょい) | 了解いたしました | 不埒者 | 枠から外れた者 |
上記の中の「貴様」は本来相手を尊重する「貴と様」が組み合わさっているので、強い敬意をもった言葉なのです。
しかし近代では下っ端の人を指したり、敵対する相手を罵倒する言葉として浸透しているため、敬語としては使うことができません。
もし「貴様」を丁寧な言い回しにするのであれば「貴殿」を使うことが望ましいです。
「かたじけない」などは現代でもビジネス用語として、使えるのではないでしょうか。
江戸言葉
江戸言葉は、江戸の街で使われていた言葉です。
江戸は武蔵野国の集落の一部でしたが、太田道灌(おおたどうかん)が城壁をきずき関東で活躍したことで、居住する人が増えていきました。
人が増えた町に徳川氏が幕府を開いてからは、大きな発展を遂げるようになっていくのです。
天正18年に徳川家康が江戸城に入城してから、江戸は徳川のお膝下として急速に発達し大都会となりました。
江戸で使われていた言葉は江戸弁といわれ、現在の東京中心で使われていた方言です。
東京で方言?って思うかもしれませんが、江戸時代の町人が使っていた言葉を下町言葉として、今でも引き継がれています。
江戸弁というと「べらんめい口調」で「てやんでい」「馬鹿野郎」「べらぼうめ」「あたぼうよ」などの言葉です。
江戸の人の気質は、気が短く喧嘩っぱやくせっかちなので、いかに早く話すことを重視していたようです。
皆がそうであるわけではありませんが、主に職人さんがよく使っていました。
例として
あなたは職人さんですか?
てやんでい、あたぼうよ!(あたりまえ)
好きな食べ物は何ですか?
「でーこん(だいこん)」の煮物だ!なんか文句あっか!
美味しそうですね。
あたぼうよ!しゃーない(しょうがない)
食わしてやろか!
ありがとうございます。お気持ちだけで
どこに住んでいますか?
しがし(東)の方だ!ええな!(いいかわかったか)
あばよ!
簡単な会話例ですが、江戸言葉はアクセントや発音に特徴があり、「いい」が「ええ」「ひ」が「し」また「江戸っ子を(えでっけ)」「手ぬぐいを(てのごい)」などと言います。
たしかに「ひ」が言えない人はいますね。「ひとり」が「しとり」と発音する人!
チャキチャキの江戸っ子と話す機会があれば、ぜひ聞いてみてるとよいかも知れません。
今に残る江戸時代からの言葉
江戸時代から伝わる江戸言葉は先に述べましたが、いかに早くしゃべるかで短い言葉になっていきました。
今もよく使われているのが下記の言葉です。
江戸言葉 | 現代言葉 |
---|---|
あんよ | 歩く |
おんり | 降りる |
ねんね | 寝る |
ぽんぽん | お腹 |
そいから | それから |
いやなこった | 嫌なことだ |
もてもて | モテる |
へーる | 入る |
むかむか | ムカつく |
マジ | マジ |
ヤバい | ヤバい |
□「あんよ・おんり・ねんね」など幼児に対して使われる言葉が江戸時代からありました。昔は大人に対しても使われていたということです。
□「モテモテ」も江戸時代から若者たちで、使われていたと言われています。語源は「持てる」からきていますが、最初に使われたのは遊郭で、ちやほやされる男と言う意味で使われていました。
□「むかむか」は現代の「ムカつく」と同じ意味で平安時代からあった言葉です。元は胸が「むかむか」する胸やけのことを指していましたが、江戸時代になると腹がたつという意味で使われるようになりました。
□「マジ」という言葉も実は江戸時代から使われており、楽屋言葉として用いられていたと言われています。
本来は「真面目」や「本気」「真剣」などの意味を持っている言葉です。短くされた言葉として「マジになる」という形で使われるようになりました。
いわゆる芸能の業界用語として使われていたのです。
□「ヤバい」は危険な状況を表す言葉ですが、すでに江戸時代1800年ごろには使われていたとされています。
語源としてはガラの悪い人たちが集まる「矢場」で犯罪に巻き込まれるかも知れないという危険性があると言うことからヤバい=危険と指すようになりました。
□「いやなこった」は江戸っ子ではなくても、普段使っている方は多いのではないでしょうか。
古くから伝わる言葉が今もなお使われているのは、江戸下町の気質を持っている人が多くいるからでしょう。
吉原言葉
吉原と聞くと花魁(おいらん)を思い浮かべるのではないでしょうか。
吉原言葉は江戸の遊郭で遊女が使っていた言葉です。
主に「ありんす言葉」や「花魁言葉(おいらんことば)」「廓言葉(くるわことば)」「さと言葉」「遊里語(ゆうりご)」などと呼ばれています。
何故「花魁言葉(おいらんことば)」が使われるようになったのでしょうか。
それは遊女たちが地方出身の人が多く、訛りを隠すために作られた言葉で話すようになったからです。
言葉ができたことで遊女たちの上品さが保たれていたように思われます。
まとめ
今回は江戸時代から使われていた言葉を中心に解説してきました。
普段使っている言葉も昔から使われていたとは思いませんでしたね。
ポイントをまとめてみました。
- 武士言葉は、参勤交代で多くの侍たちが江戸に来ており、訛りが強いので隠すために作られた言葉。
- 江戸言葉は今の東京の方言のこと。江戸弁とも下町言葉とも言う。
- 今も残る江戸言葉はあんよ・ねんね・おんり・ヤバい・マジ・ムカつくなど。
- 吉原の言葉は江戸の遊郭の遊女たちが訛りを隠すために使われていた言葉。
今も昔も若者は同じような考え方をもった人だと思いました。
参考になれば幸いです。